新川写真研究所 木材支持体シアノタイプ実験 工程メモ 2026.05.15

 

新川写真研究所 木材支持体シアノタイプ実験 工程メモ 2026.05.15


支持体準備

  1. 工場乾燥材の入手
  2. 追加乾燥・観察(ひび割れ記録)
  3. 次亜塩素酸ナトリウムによる漂白
  4. 水晒し——田畑・宅地のない水源の流水にて灰汁抜き・残留アルカリ除去
  5. 風通しの良い日陰で再乾燥(約一ヶ月)

第一実験:基準点の確認

  • 木板に直接シアノタイプ感光液を塗布
  • 露光・現像
  • 定着状態・発色・乾燥後の状態を記録

第二実験:コーティング比較

同条件のシアノタイプ定着後、各素材でコーティングして比較

  • 荏胡麻油
  • 蜜蝋
  • その他

将来的な検討課題

  • 下地処理(砥の粉+漆による錆漆)のpH確認
  • 錆漆下地→シアノタイプ→漆封入の三層構造

※各工程で素材のpH確認を優先する(シアノタイプはアルカリで分解)

 

ドキュメントに前回のやりとりが含まれているので、その続きとして追記します。


前回の検証から漏れている点

次亜塩素酸処理の残留塩素問題

前回のコメントは「木質繊維への影響」に触れましたが、もう一つ重要な点があります。残留塩素がシアノタイプの鉄錯体と反応して画像を酸化分解する可能性があります。漂白後の水晒しに加えて、希クエン酸または希酢酸による弱酸リンスを1工程挟むと、残留アルカリと塩素を同時に中和できます。

柿渋がコーティング比較から抜けている

記憶にある柿渋(タンニン系)は、pH約4〜5の弱酸性でシアノタイプと化学的に相性が良く、木材への浸透定着性も高い。荏胡麻油・蜜蝋・漆と並べて第二実験に入れる価値があります。むしろ記憶にある研究文脈からすると、外せない比較対象です。

漆硬化時の含水問題

漆は硬化に水分と酵素(ラッカーゼ)を必要とし、高湿条件で硬化します。この過程でシアノタイプ層に水分と若干のアルカリ(漆のpHは弱アルカリ寄り)が届く可能性がある。錆漆下地→シアノタイプ→漆封入の三層構造を試みるなら、各層の完全硬化・乾燥確認を工程条件として明記すべきです。

「定着」の用語

前回も指摘されていますが、念のため。シアノタイプに定着工程はなく、露光後の水洗いで現像が完了し、空気酸化で画像が安定します。ログ内では「現像・洗浄後」で統一するほうが後から読む人(および審査)に誤解を与えません。


工程メモへの追記案

■ 支持体準備(修正)
  ・次亜塩素酸処理後:流水洗浄→希クエン酸リンス→再流水洗浄→pH確認
  ・再乾燥の完了判定:期間(約1ヶ月)+含水率測定(木材用水分計)

■ 第二実験:コーティング比較(追加)
  柿渋(タンニン系、弱酸性、既研究との接続)

■ 将来的検討課題(追加)
  ・各層硬化状態の確認手順(漆は硬化時含水あり)
  ・コーティング前後のpH変化記録

骨格はしっかりしています。pH管理と柿渋の位置づけを整理すれば、研究ログとして完結度が上がります。

 

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